SIerの年収を有価証券報告書で比較|7社の平均年間給与と正しい読み方
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SIerの年収を比べるなら、上場企業が毎年提出する有価証券報告書の「平均年間給与」がいちばん確かな公式データです。ただし、会社ごとに年度・平均年齢・算出方法が違うため、数字をそのまま並べて高い・低いを決めるのは危険です。この記事では、当サイトが有価証券報告書で確認できた7社の数字を出典つきで並べ、正しい読み方と自分で調べる手順を解説します。
目次
有価証券報告書の「平均年間給与」とは
有価証券報告書は、上場企業などが事業年度ごとに金融庁へ提出する公式の資料です。「従業員の状況」という項目に、次の4つが載っています。
- 従業員数(提出会社の人数)
- 平均年齢
- 平均勤続年数
- 平均年間給与(多くの会社は賞与や残業代などの基準外賃金を含む)
口コミサイトの年収と違い、会社が公式に開示した数字なので、出典をたどって確認できます。一方で、提出会社(その会社単体)の社員だけの平均であることには注意が必要です。
7社の平均年間給与(有価証券報告書より)
当サイトの企業研究で、有価証券報告書の原本から確認できた会社だけを載せています。並びは社名の五十音順で、順位ではありません。
| 会社 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 出典・時点 |
|---|---|---|---|---|
| 伊藤忠テクノソリューションズ | 10,287,919円 | 40.7歳 | 13.4年 | 第44期 有価証券報告書(2023年3月31日現在) |
| SCSK | 7,877千円 | 42歳11か月 | 17年2か月 | 第57期 有価証券報告書(2025年3月31日現在) |
| TDCソフト | 6,199千円 | 36.0歳 | 10.7年 | 第72期 有価証券報告書(2025年3月31日現在) |
| 電通総研 | 11,250千円 | 39.9歳 | 10.7年 | 第51期 有価証券報告書(2025年12月31日現在) |
| 野村総合研究所 | 13,217千円 | 39.9歳 | 13.9年 | 第60期 有価証券報告書(2025年3月31日現在) |
| BIPROGY | 8,462,098円 | 46.4歳 | 20.8年 | 第81期 有価証券報告書(2025年3月31日現在) |
| 富士通 | 9,291,084円 | 43.1歳 | 18.2年 | 第125期 有価証券報告書(2025年3月31日現在) |
いずれも提出会社の数字です。
出典の一覧
- 伊藤忠テクノソリューションズ 第44期 有価証券報告書
- SCSK 第57期 有価証券報告書
- TDCソフト 第72期 有価証券報告書
- 電通総研 第51期 有価証券報告書
- 野村総合研究所 第60期 有価証券報告書
- BIPROGY 第81期 有価証券報告書
- 富士通 第125期 有価証券報告書
載せていない会社について
NEC、NSD、DTS、システナ、クレスコは、当サイトで有価証券報告書の原本から平均年間給与を確認しきれなかったため載せていません。各社の数字はEDINETで最新の有価証券報告書を見てください。
比べるときに必ず確認したい5つの違い
表の数字をそのまま順位にしない
平均年間給与は、年度・平均年齢・社員の構成・算出方法で大きく変わります。表の数字だけで「どの会社が高い」と判断せず、下の5点をそろえてから比べましょう。
1. 年度が違う
表の時点は会社によって違います。伊藤忠テクノソリューションズは2023年12月に上場を廃止しているため、確認できた最新の有価証券報告書は2023年3月期のものです。電通総研は12月決算なので、時点が2025年12月31日です。同じ年度の数字どうしで比べるのが基本です。
2. 平均年齢と勤続年数が違う
平均年齢は36.0歳から46.4歳まで、約10歳の幅があります。年齢が上がると給与も上がる会社が多いため、平均年齢が高い会社ほど平均年間給与も高く出やすくなります。
3. 算出方法が違う
多くの会社は「賞与及び基準外賃金を含む」と注記していますが、BIPROGYは休業者を除いて算出しているなど、細かな条件は会社ごとに違います。有価証券報告書の注記を読む習慣をつけましょう。
4. 単体と連結が違う
数字は提出会社の社員だけの平均です。富士通(提出会社32,224人、連結99,203人)のように、グループ会社の社員が多い会社では、グループ全体の平均とは違う可能性があります。持株会社の場合は、持株会社の社員だけの平均になる点にも注意が必要です。
5. 新卒の給料とは違う
平均年間給与には管理職も含まれます。新卒1年目の目安は、採用ページの初任給で比べましょう。
新卒が比べるなら初任給と働き方の条件
新卒で入社する会社を比べるなら、平均年収よりも次の数字のほうが役立ちます。
| 比べる項目 | 見る場所 | 注意点 |
|---|---|---|
| 初任給 | 採用ページの募集要項 | 学歴・勤務地・職責で変わる会社がある |
| 賞与の回数 | 募集要項 | 金額は年度や業績で変わる |
| 年間休日 | 募集要項 | 載っていない会社もある |
| 残業代の扱い | 募集要項 | 固定残業代の有無を確認 |
| 平均勤続年数 | 有価証券報告書 | 中途入社が多い会社は短く出やすい |
初任給の決め方も会社ごとに違います。たとえば富士通は職責に応じて決める方式で、NECは職務の役割やスキルに応じて個別に設定するとしています(各社の新卒採用 募集要項、2026年10月確認)。詳しくは富士通の企業研究とNECの企業研究で解説しています。
有価証券報告書で自分で調べる手順
- 金融庁のEDINETで会社名を検索する(会社のIRページからも見られます)
- 書類の種類から「有価証券報告書」を選び、最新の年度を開く
- 「第一部 企業情報」→「第1 企業の概況」→「従業員の状況」を開く
- 「提出会社の状況」の表で、従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与を確認する
- 表の下の注記(賞与を含むか、出向者の扱いなど)を読む
- 調べた数字は、年度と出典をメモしておく
調べた数字は、無料のSIer企業研究シートに書き込むと比べやすくなります。
年収以外に比べたい軸
年収はあくまで判断材料の1つです。SIerを比べるときは、次の軸もあわせて見ましょう。
- 資本系列:ユーザー系・メーカー系・独立系の違い(SIerのユーザー系・メーカー系・独立系の違い)
- 元請けかどうか:主要な販売先や事業の説明で確かめる(SIerの多重下請け構造と元請け企業の選び方)
- 主要顧客の業界:金融・製造・公共など、どの業界の仕事が多いか
運営者コメント(大手SIer営業5年の視点)
どの系列かという違い以上に、主な顧客がどの業界かで企業文化は大きく変わります。金融が中心の会社と製造業が中心の会社では、仕事の進め方や雰囲気がかなり違うので、「主要顧客の業界」は必ず確認してほしいポイントです。
※上のコメントは業界全般についての運営者個人の見解です。
まとめ
- SIerの年収を比べるなら、有価証券報告書の「平均年間給与」が確かな公式データ
- 当サイトで確認できた7社の数字は、時点が2023年3月〜2025年12月とばらばらで、平均年齢にも約10歳の幅がある
- 年度・平均年齢・算出方法・単体か連結か、をそろえてから比べる
- 新卒が比べるなら、平均年収より初任給・年間休日・残業代の扱いが役立つ
- 最新の数字はEDINETで各社の有価証券報告書を見て、出典と時点をメモしておく